設立背景と目的
オルタナティブデータとは,金融資産運用や企業価値評価で伝統的に使われてきた財務情報や経済統計データ以外の非伝統的なデータのことである.IT技術の発展により多様なオルタナティブデータが出現しつつあり,海外ではファイナンスをはじめとする実務の世界で積極的な活用が試みられている.
国内の各企業,各研究機関でも国内のオルタナティブデータの利活用を検討し始めているが,データそのものの形式が海外のそれとは大きく異なるため,海外で通用したデータ分析手法が国内のオルタナティブデータでは機能しないという声は数多く聞かれる.たとえばテキストデータであれば日本語と英語の文法や語彙の違いが影響していると言われている.
加えて,国内データベンダーの提供するオルタナティブデータはその貴重性から購入費用も高額となるケースが多い.そして,自身が目的とする分析に対して,提供されたデータがそのまま使えるケースは少なく,利用者ごとにデータクレンジングやデータ加工に多大なコストをかけることになるので,利活用が思うように進んでいないというのが現状である.
さらにはデータを分析するデータサイエンス人材の不足も生じている.実用に供するためのある種のブラックボックス型のAIやシステムを構築するデータエンジニアは育ちつつあるものの,データの裏側にある現象のメカニズムを明らかにし説明可能なAIの開発やビッグデータ分析を実践できる本来の意味のデータサイエンティストの育成が進んでいないことは大きな問題である.
我々は,日本がこの分野で世界から遅れることがないよう,一連のオルタナティブデータの利用障壁を取り除き,その利活用を促進するデータサイエンス環境を構築し,さらには万人に説明できて実務にも使えるデータ分析やAI開発ができるデータサイエンティストの育成をめざして,産学連携の機関を設立することが急務であると考える.
よって,ここに一般社団法人ADSリサーチアソシエーションの設立を発起する次第である.
主な活動内容
- 様々なデータベンダーが提供するオルタナティブデータを低コストで試すことができるクラウド型のサンドボックス環境の提供
- オルタナティブデータ流通のための標準化規格の策定
- 産学連携によるオルタナティブデータのデータクレンジング手法,データ分析手法,データ解析ソフトウェアの開発とその公開
- 動画配信や講義などを通じたデータサイエンス教育プログラムの提供
組織図
理事・役員
役職 | 会員区分 | 氏名 | 所属 |
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代表理事 | 運営会員 | 横内 大介 | 一橋ビジネススクール 金融戦略プログラム |
理事 | 運営会員 | 本多 俊毅 | 一橋ビジネススクール 金融戦略プログラム |
理事 | 運営会員/利用会員 | 辻 聡 | 野村アセットマネジメント株式会社 |
理事 | 利用会員 | 石井 賢治 | 株式会社MILIZE |
理事 | 利用会員 | 東出 卓朗 | auアセットマネジメント株式会社 |
監事 | 賛助会員 | 鈴木 晶 | 株式会社アナザーウェア |